Dialogue
対談 学生╳教員

学生計良宥志 准教授


人間が見る世界と
AIが見る世界はどう違う?

──考える力が未来を拓く

  • 計良准教授
    「AIは、人間の考え方をコンピュータ上で再現しようとする技術。知的に見えても、人間と同じように考えているわけではありません。」

  • 学生KSさん
    「なんとなく毎日利用しているAI。本当はどんな仕組みなんですか?」

  • 学生AHさん
    「AIが進歩して、人間を超える日が来るのでしょうか?」

AIって何?

QKS:先生は機械学習の専門家だとお聞きしています。私たちは簡単に「AIが……」と話してしまいますが、そもそもAIとはどういうものなのでしょうか?

A計良:一言でいうと「人間のように考える仕組みをコンピュータ上で再現しようとする技術」です。人間は何か情報が入ってくると、それが何かを憶測・推測を交えて判断します。そういう入力と出力の関係を機械的に実現する仕組みがAIです。例えば、犬か猫か紛らわしい画像を入力して、ちゃんと見極めてくれます。それくらい最近のAIは賢くなり、人間が求める答えをかなりの精度で返してくれます。その背景には機械学習の高度化があるのですが、不完全なデータでも判断ができるというのは実は人間の思考にも重なるもので、ますます人工知能という言葉にリアリティが出てきましたね。

AIの作り方
コンピュータにたくさんのデータを与え、そこにあるパターンやルールを学習させ、未知のデータに対する答えを予測させる技術。例えば、イヌとネコの写真をたくさん見せて、識別能力を身につけさせると「イヌ・ネコ判定AI」ができあがる。

生成AIはなぜ急に賢くなった?

QAH:ChatGPTのような生成AIが急に発展した理由は何でしょうか?

A計良:この分野は10年ごとに大きな進展があると言われていて、ディープラーニングが登場した10年後の2022〜2023年頃に大ブレイクしました。ディープラーニングというのは、ニューラルネットワークという人間の脳を模した構造を使って大量のデータを入力し「予測と正解の誤差」を埋めていく学習方法です。また、最近だとトランスフォーマー※Tipsという革新的なモデルが登場したことで文章のように長さが変わる(可変長)ものを扱えるようになったことと、学習データ入力後に「人間のフィードバック(強化学習)」で精度を高められるようになったことも大きな要因になっています。

Tips

トランスフォーマー
2017年にGoogleが発表した深層学習モデル。私たちが日常使う文章の理解度とスピードが飛躍的に速くなった。ChatGPTやGeminiなど、今日の生成AIブームを支える基盤技術となっている。

AIは人間を超える?

QKS:AIが人間を超える“シンギュラリティ”は起きると思いますか?

A計良:これはよく聞かれます(笑)。完全に超えるかは分かりませんが、知的能力のいくつかは人間を超えると思います。ただ、人間には身体能力も備わっていますし「価値観」というものもあります。AIが下した判断を人が採用するかどうかも別の問題です。私の感覚では「AIは宇宙人」のような存在なのです。人間と同じような知的活動ができても、そのプロセスには未知な領域があり、少し変な入力をすると思いもよらない挙動を示すこともある。そこを理解しながら社会課題や倫理を含めて考えながら付き合っていく必要がありますね。

人間とAIはどう違う?
人間にはパンダにしか見えない写真だが、AIには「テナガザル」に見えてしまう画像がある。AIは「宇宙人」。人間とは異なる形で世界を理解している。どう違うのかを考えたり、その違いの活用法を考えたりするのも1つの研究分野。

AI時代をどう生きる?

QAH:AIは私たちの生き方を変えますか?また、この学部で学んだことをどう生かしていけばいいのでしょうか?

A計良:未来のAIとの付き合い方は、まさに皆さん自身が作っていくものです。AIがいろんなことを代替できるようになってくると、人はまた新しいことに挑戦できるようになる。そこで重要なのが“人間らしさ”なんです。
情報・データサイエンス学部で学んでいる内容は、AIの根幹に関わる数学やデータの扱い方など、どんな分野にもつながる基礎です。土木でも医療でも農業でも、これからはAIがどんどん入っていく。だから、どの専門に進んでも、この学部の学びは絶対に役に立つと思います。

左から計良准教授、学生KSさん、学生AHさん

対談を終えて

自身の「問い」を大切にして

計良:AIは急速に進化していますが、決して魔法の存在ではありません。人間とは異なる仕組みで考え、時に驚くような判断をします。だからこそ、AIを正しく理解し、その特性を踏まえて付き合うことが重要です。AIを学ぶことは、人間の知能や社会のあり方を考えることでもあります。皆さん自身の「問い」を大切にしながら、AIとともに未来を考えていってほしいと思います。

AIや情報で人の暮らしや体験を豊かにしたい

KS:私はAIの発展自体はすごく面白いなと感じています。例えば、農業などの分野では、天候など予測できないことの影響を受けやすいと思いますが、そういうところにAIを活用したいですね。できることはAIに任せて、私たちはそれ以外のところをどんどん伸ばしていけるような感じになっていったら、何かもっと暮らしとか体験とかが面白くなるのではないでしょうか?

複数の専門知識とAIを組み合わせて日本の未来に貢献したい

AH:大学生活で幅広いことに興味を持ち、複数の専門知識とAIを組み合わせて日本の未来に貢献したいです。特に物流に関心があり、データ分析で“動き”のムダを減らす挑戦をしたい。今日の対談で、AIを使うほど「問いの立て方」が大事だと実感しました。

Associate Professor

計良宥志准教授

計良宥志 准教授

千葉大学大学院融合理工学府 情報・データサイエンス学部准教授。2020年、東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻博士課程修了。同年より東京大学大学院情報理工学系研究科特任研究員。その後、千葉大学大学院情報学研究院助教、Zuse Institute Berlin客員研究員などを経て、2025年より現職。

Student

学生KSさん

学生  
KS さん

近畿大学附属豊岡高等学校出身
AIの急速な発展を不安視する人もいるようですが、人々がAIにはできないことに打ち込み、その能力を伸ばしていけば、今より面白い世界になっていくのではないかと思っています。

Student

学生AHさん

学生  
AH さん

東京都立小松川高等学校出身
表やグラフをみると、そのデータからどんな情報が得られるか分析してしまう……という人にはお勧めの分野。千葉大学の入試傾向もしっかり分析し、賢く合格して一緒にデータサイエンスを学ぼう!